「住まいと暮らしの相談窓口」は、NPO法人ユニバーサルデザイン推進協会と豊中市住宅課の共催事業として行われています。

「墓じまい」・「お墓」Q&A

「墓じまい」「墓えらび」の基礎知識
「墓じまい」という言葉を見聞きしたことはありますか?
「墓じまい」には「墓えらび」がついてくるケースがほとんどなのを知らずに、うちもした方がいいのかしら・・と心配される方が増えてきた一方で、しなくてもよい墓じまいでトラブルになったという事例もあります。
弔いの方法やお墓の在り方は社会・個人の価値観の変化に伴い多様化し、新しい考え方やサービスが登場しています。 これまでできなかったことが可能になったケースもありますので、ぜひ“今”の情報にも目をむけてみてください。
宗旨宗派や地域による違いはありますが、とりかかる前に知っておきたい「お墓」に関する基礎知識や事例をQ&A方式で紹介いたします。

住生活コーディネーター/上級終活カウンセラー 熊川サワコ
クリック→ 個人ブログ

クリック→ Facebook

 

Q&A目次(各項目をクリック下さい。)
1:「お墓」って自分の物ですか?
2:自分の所有地に「お墓」を建ててもいいですか?
3:「墓じまい」とはどのような行為ですか?
4:「墓じまい」は何のためにするのですか?
5:「墓じまい」にはどんな方法がありますか?
6:「墓じまい」に法的な手続きは必要ですか?
7:「永代供養」とはどのようなことですか?
8:「永代供養墓」「永代供養堂」とはどのようなものですか?
9:「共同墓」「合同墓」とはどのようなものですか?
10:直系の子や孫でないと「墓守」にはなれませんか?
11:「墓守」が相続する「祭祀財産」とは何ですか?
12:「檀家」でないとお墓は持てませんか?
13:「樹木葬」とはどのようなものですか?
14:「自然葬」とはどのようなものですか?
15:「本山納骨」とはどのようなことですか?
16:「送骨納骨」とはどのようなことですか?
17:「納骨」「散骨」はいつまでにしなければなりませんか?
18:「手元供養」とはどのようなことですか?
19:「ペット」と一緒にはいれるお墓や納骨堂はありますか?
20:天涯孤独な自分の死後、「葬儀」や「納骨」を誰かに頼むことはできますか?
21:私の死後に先祖代々の墓の「墓じまい」をしてもらうことはできますか?
22:子どもがいない私の死後、
一心寺さんに私と亡き妻の遺骨を一緒に「納骨」してもらうことはできますか?
23:これまでお付き合いのなかったお寺に「永代供養」してもらうことはできますか?
24:「○○家の墓」に「墓守」は必須ですか?
25:「墓じまい」のポイントは?
26:「墓えらび」のポイントは?


Q:「お墓」って自分の物ですか?

A:正確には違います。

“お墓を買う” というとお墓は自分のもののように思えますが、実際は 「お墓を建てるための土地を、所有者に使用料を払って永代に借りることができる権利=永代使用権を買う」ことと「永代に使用できる土地の上に建てる墓石を買う」ことが合わさっています。

いわば墓地にお墓を建てるのは、ずっと借りることができる借地に、自前の家を建てるのと同じといえるでしょう。

・お墓を建てる土地の所有権→その墓地を所有・管理している団体
・お墓を建てる土地の永代使用権→お墓を建てた人
・墓石の所有権→お墓を建てた人

墓地の永代使用権の譲渡は、墓地所有者の承諾が必要です。 また、墓守=祭祀承継者(→Q&A11)が死亡して代替わりをした場合などには墓地所有者への届け出が必要です。

墓地用土地の永代使用権を返還=「墓じまい」する際は、借地に建っている家を撤去して更地にしてから大家さんに返すのと同じように、墓石などを撤去して更地に戻す必要があります。

なお、個人所有地の墓地新設は、特殊な事情がある場合にのみ認められます。(→Q&A2)


Q:自分の所有地に「お墓」を建ててもいいですか?
A:かなり難しいです。

お墓は「墓地」として認められた場所にしか建てられません。[ 墓地、埋葬等に関する法律第4条 ]
「墓地」の新設には都道府県知事の許可が必要です。 [ 同法律第10条 ]
許可は、地方自治体・公益法人・宗教法人にのみおりるといってもいいでしょう。

へき地・離島など特殊な事情があれば個人墓地が認められるケースもありますが、新設・移設・拡張等すべて行政の許可が必要です。 条件は自治体によって異なりますので直接役所に問い合わせてください。

なお、現在許可がおりないであろう場所にある個人所有地のお墓は、[ 墓地、埋葬等に関する法律 ]ができる昭和23年より前からあるお墓で、行政に届け出をした“みなし墓地”だと思われます。


Q:「墓じまい」とはどのような行為ですか?
A:いまのお墓からご遺骨を取り出して、お墓を閉じる(なくす)ことです。

お墓を閉じるには、魂抜きなどの法要に加え様々な手続きと、墓石を撤去して更地にする費用がかかりますが、なにより取り出すご遺骨の新しい行先を考えることが重要です。

ご遺骨を形が残ったまま遺棄することは[ 刑法190条 ]で禁じられており、違反すると3年以下の懲役が科せられます。 「もうお墓いらないし適当に捨てちゃお」は犯罪です。


Q:「墓じまい」は何のためにするのですか?
A:お墓を無縁墓(むえんばか)にしないために行います。

無縁墓とは、
・墓の名義人=墓守・祭祀承継者と連絡がつかない
・誰も墓参りにこない
・放置されている

お墓の事です。

無縁墓になってしまうと、あなたのご先祖様のご遺骨が入っているお墓が朽ち果てたり、勝手に処分されてしまうおそれがあります。

福岡県久留米市の公営墓地では半数以上が無縁墓になっていて、少子化や都会への人口流出が大きな原因と言われています。


Q:「墓じまい」にはどんな方法がありますか?
A:ご遺骨を新しいお墓や納骨堂にうつしたり、お墓が必要のない散骨にする方法等があります。

ご遺骨を別の所に移動させること=ご遺骨のお引越しを「改葬」(かいそう)といいます。
遠方で管理しにくいお墓から管理しやすい近隣の墓地霊園へ改葬する場合、新しい墓地等を購入することになります。 この時ご遺骨とともに墓石ごとお引越しされる方もいます。

自分のあとにお墓を管理する墓守がいない場合等は永代供養(→Q&A7)を頼むこともできます。 また、いまお墓がある寺院や霊園内で永代供養に変更できるケースもあります。

お墓という場所や永代供養にこだわらない方、そして自然に還りたい方は散骨(→Q&A14)も選択肢のひとつになるでしょう。


Q:「墓じまい」に法的な手続きは必要ですか?
A:必要です。 加えてお寺や霊園などの承諾も必要です。

ご遺骨は[ 墓地、埋葬等に関する法律 ]により管理されています。 ご遺骨の移動=改葬したい場合は、現在お墓のある自治体・お墓のある宗教施設や管理団体・そしてご遺骨の移動先の許可や証明が必要です。
・改葬先(ご遺骨の引っ越し先)の「墓所使用許可証」
・現在お墓がある宗教施設等の「埋蔵証明書」(お墓)や「収蔵証明書」(納骨堂)
・現在お墓がある宗教施設等の所在地がある自治体の「改葬許可証」

書類の名称や形式は全国バラバラで統一されていないので、現在お墓がある自治体の担当部署に問い合わせましょう。 ホームページから書類をダウンロードできる自治体もあります。


Q:「永代供養」とはどのようなことですか?
A:親族以外の法人に、御霊の供養やお墓・ご遺骨の管理をしてもらうことです。

永代供養(えいたいくよう)とは、お墓参りを様々な事情でできない人や、自分の死後に墓守=お墓を継ぐ人・管理できる人=祭祀承継者(→Q&A10)がいない場合、霊園や寺院が永代に渡ってご遺骨を供養・管理するシステムのことです。


Q:「永代供養墓」「永代供養堂」とはどのようなものですか?
A:永代にわたって宗教者の供養があるお墓や納骨堂の事です。

永代供養(→Q&A7)がセットになっているお墓が永代供養簿墓(えいたいくようぼ)で、永代供養がセットになっている納骨堂が永代供養堂(えいたいくようどう)です。 墓地・納骨壇購入時に永代供養料を支払う、または価格に含まれていることが多いです。

読経などご供養の回数は、春と秋のお彼岸・お盆・年末年始と年に数回のところもあれば、毎日のところもあります。

ご遺骨の状態は、骨壺のままどなたのご遺骨かがわかる状態のところもあれば、ご遺骨を骨壺から出して納める合祀(ごうし)などさまざまです。

檀家(→Q&A12)でなくてもはいれる永代供養墓・永代供養堂もありますが、法要は墓地霊園を所有管理している寺院や団体の宗旨宗派のものとなります。

永代供養墓は「共同墓」「合同墓」(→Q&A9)であることがほとんどですが、最近は個人や家族単位の「永代供養墓」(→Q&A24)の扱いがある霊園等もあります。


Q:「共同墓」「合同墓」とはどのようなものですか?
A:個人や家族単位ではないお墓のことです。

共同墓(きょうどうぼ)と合同墓(ごうどうぼ)は同じ意味で使われています。
お寺や教会の共同墓・合同墓もあれば、霊園単位など宗旨宗派を問わない共同墓・合同墓もあります。

ご遺骨の状態は、骨壺のままどなたのご遺骨かがわかる状態のところもあれば、ご遺骨を骨壺から出して納める合祀(ごうし)などさまざまです。 ○○年は骨壺のままで、その後骨壺から出して合祀という共同墓・合同墓もあります。 永代供養(→Q&A7)がセットになっているところがほとんどです。

10
Q:直系の子や孫じゃないと「墓守」にはなれませんか?
A:墓守=祭祀承継者は、親族以外がなることも可能です。

「祭祀承継者」(さいししょうけいしゃ)とはいわゆる墓守のことで、祭祀財産(→Q&A11)を受け継ぐ人のことです。 亡くなった方の遺言や生前口頭で指名された人が「祭祀承継者」となりますが、指名がない場合は長男に限らず慣習的に考えます。 誰が祭祀承継者になるか揉めた場合は家庭裁判所で決めます。

なお、遺言で指名された場合は断れませんが、祭祀承継者就任後は自分の判断で法事や墓参りや墓じまい(改葬)をやる・やらないを決定できます。

祭祀承継者には甥・姪など子ども以外の親族や、友人や知人を指名することも可能ですが、子ども以外を指名する場合は、元気なうちに依頼して本人の了承を得ておくなどの心遣いも必要でしょう。

ただし、「墓地・納骨堂の使用権(→Q&A1)を相続できるのは現契約者の○親等以内の親族」という条件付きのお墓や霊園がありますので、契約内容をしっかり確認したうえで考えましょう。

11
Q:「墓守」が相続する「祭祀財産」とはなんですか?
A:お墓や仏壇のことです。

[ 民法897条 ]に定められた祭祀財産(さいしざいさん)は3種類で
・「系譜」(家系図)    
・「祭具」(仏壇・神棚・祭壇)
・「墳墓」(お墓)

となります。

亡くなった方に借金があって相続放棄をしても、祭祀財産は別枠なので借金とは関係なく受け継ぐことが出来ます。 また祭祀財産に相続税はかかりません。 しかしふだん祭具として使用されていない純金製の仏具などは税務署のチェックが入る場合があります。

祭祀財産の共有や分割は認められおらず、祭祀承継者(→Q&A10)が一人で受け継ぐことになりますので、祭祀承継者には祭祀財産だけでなく、祭祀財産の管理に必要な費用についても遺言等で考慮するようにしましょう。

12
Q:「檀家」でないと、お墓は持てませんか?
A:墓地によります。

「檀家」(だんか)とは、特定の寺院に所属し経済的に支援する家のことです。 主たるメリットは葬儀などの法要をその寺院で行ってもらえることです。 江戸時代はどこかの寺院の「檀家」になるのが義務でしたが、いまは[ 日本国憲法二十条 ]で「信教の自由」が保障されています。

墓地には、地方自治体や地域が運営管理する「公営墓地」、宗教法人や公益法人・団体の委託をうけて民間企業が運営管理する「民営墓地」、寺院が運営管理する「寺院墓地」があり、「寺院墓地」以外に檀家縛りはないと思ってよいでしょう。

また、これまで「寺院墓地」は檀家限定でしたが、最近は檀家が必須でない「寺院墓地」も増えてきています。

13
Q:「樹木葬」とはどのようなものですか?
A:植物を墓標にする墓地のことです。

墓標とは、“ここはお墓である”とわかる目印の事です。

樹木葬の木や植物の墓標には     
・シンボルツリー型
・一人1本型
・家族で1本型
・ガーデニング型
・山にもともとあった木を使うドイツ型
等があります。

ご遺骨を納める場所は石のお墓のと同じような空間=カロートの中、土の中に直接などで、納めるご遺骨の状態は、個別・家族毎・合祀(→Q&A26)などさまざまです。

14
Q:「自然葬」とはどのようなものですか?
A:土葬や散骨など、ご遺体やご遺骨を直接大地・地球に還す葬り方です。

日本での自然葬は主に、「土葬」と「散骨」になります。
(樹木葬によくみられるご遺骨(焼骨)を直接土に埋める方法も、自然葬の一種といえるでしょうが、この項では省きます。)

「土葬」は火葬せずご遺体のまま土中に葬る方法です。 葬ることのできる場所は法律で「墓地」と定められています。(→Q&A2)

現在日本の火葬率は99.9%以上で、「土葬」は宗教・風習・地理的要因でわずかに残っている程度です。 これらの要因と関係なく日本国内で「土葬」を希望する場合は特定の団体に依頼する方法があります。 しかし現在西日本に埋葬できる場所の取り扱いはありません。
また土葬が基本のイスラム教徒のムスリム霊園は日本国内に数か所しかなく、墓地不足は深刻な問題となっています。

「散骨」は火葬後のご遺骨(焼骨)をパウダー状にして、海や土の上にまいて自然に戻す葬り方です。
海洋散骨は節度を持った状態でなら違法にはならず、レジャー・漁場・航路を避けた沖合い等で執り行われています。 なお観光地がある自治体などでは条例で沖合の海洋散骨を禁じている場合もあります。

土の上への散骨は個人所有地ならば違法ではありませんが、その後土地を賃貸したり売却の際は説明責任義務の対象となるでしょうし、条例で禁止している自治体・地域もありますのでご注意ください。
「墓地」登録されている土地に開設されている散骨場もあります。

15
Q:「本山納骨」とはどのようなことですか?
A:遺骨の一部または全部を、宗派の本山に納めることです。

西日本にはもともと遺骨の一部を分骨として本山に納める習慣がありました。 他者とご遺骨が混ざる合祀が基本でご遺骨の返還はできません。 様々な条件がありますので、いまお墓のあるお寺さまに相談してみましょう。

16
Q:「送骨納骨」とはどのようなことですか?
A:永代供養してくださるお寺にご遺骨をゆうパックで送り、納骨することです。

お寺等に永代供養(→Q&A7)を依頼したいが、健康上の理由等でそのお寺まで出向けない場合、ゆうパックでご遺骨を送って納骨する方法を「送骨納骨」といいます。

現在ご遺骨を送れるのはゆうパックのみです。他社の宅配便では送れません。

17
Q:「納骨」「散骨」はいつまでにしなければなりませんか?
A:法的な決まりはありません。

いついつまでに納骨や散骨(→Q&A14)をしなければならないという法律はありません。
宗旨宗派や地域性はありますが、一般的には四十九日の忌明け法要と納骨(=ご遺骨をお墓や納骨堂に納める事)を同時にされる方が多いようです。

ご遺骨を自宅にずっと置いて、「手元供養」(→Q&A18)される方もいらっしゃいます。

18
Q:「手元供養」とはどのようなことですか?

A:ご遺骨またはご遺骨の一部を、そのまままたは

加工して身近において供養することです。

・お墓をどうするか決めるのに時間がかかる。
・とにかく近くにいて欲しい。
・宗教とは関係なく心の拠り所がほしい。
等の理由で、ご遺骨を自宅に保管するのは法律上問題ありません。

ご遺骨をアクセサリーに加工して身に着けたり、ご遺骨の半分を「散骨」(→Q&A14)に、残りの半分を「手元供養」にされる方もいらっしゃいます。

19
Q:「ペット」と一緒にはいれるお墓や納骨堂はありますか?
A:あります。

『人間が現世で悪いことをすると「畜生道」におちる』

といった話を聞いたことはありませんか?
仏教の世界観ではこれまで、犬や猫は人間より下の存在とされてきました。 そんな畜生(人間以外の生き物)が人間と同じお墓にはいるなんて、とんでもないことだったのです。

しかし昨今、犬や猫が家畜から大切な家族になったことで、ペット供養やペットのお墓ができ、そしてペットと人間が一緒に入れるお墓や納骨堂が誕生しました。

20
Q:天涯孤独な自分の死後、葬儀や納骨を誰かに頼むことはできますか?
A:「死後事務委任契約」を結べば可能です。

 

いわゆる「おひとりさま」でも、元気なうちに法的効力のある「死後事務委任契約」を締結することで、自身の死後の葬儀や納骨・永代供養(→Q&A7)を生前に依頼することが可能です。
自分より長生きするかどうか不確定の個人より、死後事務委任契約を請け負った実績のあるNPOや団体に頼まれるのがよいでしょう。

葬儀や納骨だけでなく、銀行・クレジットカード・公共料金・家賃等の支払いと解約や、住んでいた場所の片付けなども死後事務委任契約で可能です。

21
Q:私の死後に先祖代々の墓の「墓じまい」をしてもらうことはできますか?
A:墓地や霊園の承諾と、墓じまいの実務を担う協力者がいれば可能です。

いずれ墓じまいが必要なのはわかっていても、自分の目が黒いうちに閉じるのは忍びないという場合、「死後事務委任契約」を使えば「死後の墓じまい」が可能になります。

依頼者の死後にいまあるお墓からご先祖さまのご遺骨を取り出し、依頼者のご遺骨と一緒に永代供養墓(→Q&A8)へ改葬できる場合があります。 元気なうちにいまお墓があるお寺や改葬先の霊園の承諾をとり、加えて実務を担うNPOなど協力者と死後事務委任契約を締結しておきましょう。

依頼者のご遺骨をいったん先祖代々のお墓に納骨したのち、三回忌や七回忌などのタイミングでの墓じまい=ご先祖のご遺骨と永代供養墓へ改葬することも承諾と協力があれば可能です。

22
Q:子どもがいない私の死後、一心寺さんに私と亡き妻の遺骨を一緒に納骨してもらうことはできますか?
A:奥様のご遺骨の状態によります。

一心寺(いっしんじ)とは大阪市天王寺区にある浄土宗のお寺で、納骨された10年分のご遺骨で「お骨佛」を造立することで有名ですが、令和3(西暦2021)年1月1日よりご遺骨の受け入れ制限が始まりました。

納骨できる骨壺のサイズが指定されたほか、墓じまいなどの改葬分(すでにどちらかのお墓や納骨堂に納められているご遺骨を出して一心寺さんへ納骨)は受け入れ不可となりました。

この問いの場合
・ご本人さま(夫)のご遺骨・・死後事務委任契約を使えば一心寺さんへの納骨可能
・配偶者さま(妻)のご遺骨・・
A:奥様のご遺骨を小骨壺に収めてご自宅で保管されていたのなら、(ご主人が死後事務委任契約を第三者と結ぶことにより)ご主人のご遺骨とともに一心寺さんへの納骨は可能。
B:奥様のご遺骨をすでにどちらかのお墓や納骨堂に収めらていたのなら、一心寺さんへの納骨は不可。となります。

※納骨可能な骨壺のサイズなど詳細は一心寺公式サイトをご覧ください。https://www.isshinji.or.jp/nokotsu_ukeire.html

 

23

Q:これまでお付き合いのなかったお寺で「永代供養」してもらうことはできますか?
A:可能なお寺もあります。

これまで全くご縁がなくても、檀家(→Q&A12)になる必要なく永代供養(→Q&A7)を受け入れてくださるお寺があります。 ただし、供養はそのお寺の宗派のやり方となります。

24
Q:「○○家の墓」に「墓守」は必須ですか?
A:墓守不要のお墓もあります。

ご先祖様の供養やお墓の管理をする墓守=「祭祀承継者」(→Q&A10)がいなくとも、現代の世相を反映し“永代供養で将来管理費がかからない個人や夫婦・パートナーや家族だけのお墓”が登場しています。

ずっと同じお墓にいられるタイプと、最後のおひとりがお墓に入られてから〇〇年後にそのお墓からご遺骨を取り出し、合同墓(→Q&A9)に移動する合祀タイプがあるので、条件をよく調べましょう。

なお、永代供養(→Q&A7)は墓地や霊園におつとめにこられる宗教者のお経となります。

25
Q:「墓じまい」のポイントは?
A:話して聞いて相談しましょう

「迷惑かけたくないから墓じまいを」と誰にも相談せずご先祖様のご遺骨をお墓から出して合祀(骨壺からご遺骨を出して、親族以外のご遺骨と合わさる・混ざる状態)にしてしまい、子どもたちや親戚とトラブルになってしまった事例があります。 あらためて話し合いの場を設けたとしても、合祀されたご遺骨が戻ることはありません。

もし「将来の墓参りが子どもたちの負担になるのでは?」と思われるのなら、まずはあなたの心の内をご家族に話してください。 そして、ご家族がどう思っているかを直接聞いてください。

著者は父の死後、実家の墓守=祭祀承継者(→Q&A11)となりました。 そしていずれ遠方にあるお墓を私の代で「墓じまい」する役目を担っています。 詳細は終活講座でお話ししておりますが、この結論に至るまでには父が元気なうちから何度も話し合い、お寺さんにもいろいろアドバイスいただきました。 やり取りの中で感じたことは、『家族であっても価値観はみなそれぞれで、どう考えているかは聞いてみないとわからない。』ということです。

昭和の時代にはなかった、社会背景に合わせた弔いの形やサービスが次々とできています。 また、お寺をとりまく環境も変化してきています。 以前はできなかったことが可能になったりもしています。

みなさんがどうされたいか、ご不安があるならどのようなことか、まずは家族で話し合い、そしていまお墓のあるお寺さんに相談されることをおすすめいたします。

26
Q:「墓えらび」のポイントは?
A:雰囲気だけでなく、条件面も吟味しましょう

まずは「墓標」「ご遺骨を納める場所」「納めるご遺骨の状態」「管理」面から考えましょう。

① 「墓標」とは、ここがお墓でご遺骨(火葬)やご遺体(土葬)があることがわかる目印となるものです。
従来からある石のお墓は墓石や墓碑が「墓標」で、樹木葬(→Q&A13)では植物や名前を記したプレートなどが「墓標」にあたります。 納骨堂も様々な大きさ・デザイン・仕組みの納骨壇があります。
海洋散骨(→Q&A14)に墓標はありませんが、散骨ポイントの緯度経度を記した書類を発行する会社もあります。

② 「ご遺骨を納める場所」
石のお墓はカロートと呼ばれる石で囲まれた空間、納骨堂なら納骨壇の中。
樹木葬(→Q&A13)はカロート状のものや土の中に直接などさまざまです。

③ 「納めるご遺骨の状態」
個別・・骨壺にいれたまま、どなたのご遺骨なのかがわかる状態
合祀(ごうし)・・骨壺から出して、他者のご遺骨を混ざる状態
粉骨・・ご遺骨を概ね2~3㎜以下に粉砕して細かいパウダー状にした状態
※「散骨」(→Q&A14)だけでなく、ご遺骨の嵩を減らしたい場合も粉骨することがあります。

なお、他界後○○年は個別で弔い、それ以降は骨壺から出して共同墓(→Q&A9)で合祀 といった契約もあります。

加えて納め方には地域性もあります。
お墓のカロート(遺骨を収納する部分)に骨壺のまま納める地域がある一方、骨壺からご遺骨を取り出して直接カロートに納める、またはご遺骨を麻袋に入れてカロートに納める というところもあります。
ご遺骨を骨壺から出してカロートに納める場合は、身内同士の合祀ともいえるでしょう。

④ 「管理」
子どもなどの祭祀承継者(→Q&A10)が祭祀財産(→Q&A11)を継いで管理するのか、お寺霊園等に管理をお願いする永代供養(→Q&A7)か、管理の必要がない散骨(→Q&A14)かなど、今後の管理についても考えましょう。

以上①②③④と費用やアクセスなどの条件面の検討と、墓地の雰囲気・スタッフの対応等をチェックして、ご家族など関わる人みんなで「墓えらび」をしていきましょう。

以上

投稿日:2021年7月1日 更新日:

執筆者:




[custom-twitter-feeds num=5]